<全国高等学校サッカー選手権大会 埼玉県予選会決勝トーナメント準々決勝>西武台 vs 埼玉平成

全国高校サッカー選手権埼玉大会は浦和駒場スタジアムで11月5日(土)、6日(日)の2日間にわたり準々決勝を開催。6日の第2試合ではと昨年のファイナリスト・西武台高校と初のベスト8進出となった埼玉平成高校が対戦した。

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西部支部同士の戦いとなったこの試合。まずは開始早々に西武台がチャンスを作る。前半1分、中盤でボールを奪うと、田中智也を経由して右サイドの岩本匠吾へ。岩本は中に切り込みながら、ペナルティーエリア手前からシュート。ボールは惜しくも右ポストに直撃したが、まずは西武台が挨拶がわりの一発を放つ。

序盤から西武台は速いプレスからのピッチを大きく使った攻撃でペースを作っていく。対する埼玉平成は中盤あたりまではボールを運ぶも、味方のサポートが少なく、西武台のプレッシャーにつかまってしまい、なかなかゴール前まで侵入することができない。それでもディフェンスの部分ではポジショニングのバランスを崩さず、集中力を保って西武台の攻撃を跳ね返し続ける。

西武台は前半26分、岩本のボール奪取から、右サイドの山口拓真がキーパーとディフェンスの間にグラウンダーのクロス。これに丸山敦司が合わせるがまたしてもゴールポストに阻まれてしまう。するとその1分後には埼玉平成にチャンス。中盤でボールを奪うと、山崎祥平が遠くから狙っていく。これはキーパーに阻まれたが、この試合初めて埼玉平成がシュートまで持ち込む。

形を作りながらもなかなか得点に結びつけることができなかった西武台だが、それでも前半34分、ついに先制点を挙げる。「守備時のボールの読みと展開力」が持ち味という今井祐太朗がハーフウェイライン付近でボールを奪うとドリブルを開始。

「今井が良い位置でボールを取ってくれたので、自分が走ればチャンスになると思って信じて走った」という田中が前線に走りこむと、その足元にゴール前で横パスが入る。これを田中が冷静に決めて西武台が先制に成功する。

その後も組織的な守備で埼玉平成に自由な展開を許さず。前半のシュートを1本に抑えた西武台が1点リードで試合を折り返す。

まずは同点としたい埼玉平成は後半開始と同時に速攻をかける。西武台のキックオフのボールを奪うと、最後は山崎祥が狙っていくが、西武台GK高麗稜太の好守に遭いゴールならず。それでも立ち上がりから点を取りにいく姿勢を見せる。

しかし次の得点を決めたのは西武台。後半4分、スローインからの一連の流れから英賀慎之介が縦パスを送る。そのボールを丸山がヒールで落とし、最後は田中がシュート。「アイコンタクトもできていて、イメージが共有できたゴールだった」という田中のこの日2点目で西武台がリードを広げる。

畳み掛ける西武台は今井のボール奪取からの展開力を生かした攻撃や岩本のドリブル突破、山口のシュートなどで圧力をかけていく。後半12分には山口、丸山とつないで中央にグラウンダーのクロス。田中がスルーしたボールに後ろから走りこんだ岩本が合わせたが、これはクロスバーを叩く。

すると後半15分に追加点。今井の右コーナーキックから美川笙乃が打点の高いヘディングでそらすと、この日は左サイドバックとしての出場ながらフォワード、センターバックもこなす相葉航希が合わせて3点目。「練習中から意識していた」(西武台・今井)という形からの得点でリードをさらに広げる。

なんとか前に出ようとする埼玉平成は縦に速い攻撃からチャンスを狙うも、なかなか西武台の守備網を突破することができない。

さらに西武台は後半26分、3点目を決めた相葉が左サイドを突破しエリア内に侵入。2人、3人と引きつけると、中央でフリーとなった山口に絶妙なパスを送る。これに山口が右足で合わせて4点目。

埼玉平成はアディショナルタイム、後方からのロングボールに新井が合わせるもジャストミートせず。全校応援の前でなんとか1点をもぎ取ろうと最後まで攻め続けたが得点を奪うことができず、4-0で西武台が準決勝進出を決めた。

今年は新人大会、関東予選、総体予選と3大会でベスト4を逃してきた西武台。「いろいろと試行錯誤をしながら子供たちも頑張ってくれたし、ここを目指して最後までやってくれた結果だというのを認めてあげたい」と守屋保監督。

その一方で「今日はファーストディフェンスを敵のサイドバック、ワンボランチのところに置いたが、ルーズになってしまうところがあった。ベスト4の試合を考えた時に、こちらの圧倒した守備から相手が攻撃意識を失っていくような試合に持ち込まないと」と気を引き締めた。

西武台は準決勝で第2シードの聖望学園高校を破った浦和南高校と対戦する。今井主将は「浦和南はフォワードの高さがあるので、セットプレーは特に注意していきたい。集中力を切らせないようにして、ノーファールでやっていきたいと思う」と準決勝に向けての対策を語った。

一方、敗れた埼玉平成・浦田尚希監督は「西武台は強かった。我々はまだやらなくてはいけないことが多いと感じた試合だった。プレッシャーゲームの中で厳しい試合だったが、もう少し後ろからつなぐことができればよかったと思う」と試合を振り返った。

それでも今年は1次予選から常連校が名を連ねる決勝トーナメントに進出し、2年生が主体のチームで初のベスト8進出を果たした。

「我々はしっかりとつないで、一人一人がしっかり判断できるスペインのようなサッカーを目指している。これをもっと磨いていきたい。今回の試合でフィジカルの部分の課題も見えたし、攻撃の精度ももっと上げていく必要があると思った」と浦田監督。

今年の2年生が最高学年となる来年はさらなる躍進に期待したい。

石黒登(取材・文)
椛沢佑一(写真)

試合結果

西武台 4-0 埼玉平成

1(前半)0
3(後半)0