第96回全国高等学校サッカー選手権大会 埼玉県1次予選 狭山経済 vs 小川

選手権埼玉予選1回戦。坂戸高校グラウンド第2試合はグループVの小川高校と狭山経済高校が対戦。前半のうちに2点を先行した小川が後半の狭山経済の反撃を1点に凌ぎきって、2回戦に駒を進めた。小川は24日の2回戦で熊谷西高校と激突する。

序盤戦の攻防を制し、先に試合のペースを握ったのは小川。前半は「縦に速く、相手のディフェンスラインの背後に起点を作る」同校のサッカーがピタリとハマった。

先制点は15分。DF久保真生の中盤右からのフリーキックに2年生FW谷口翔耶が反応する。後方からの難しいボールだったが、冷静にキーパーの位置を確認すると「ボールはほぼ勘だった」というが、トップの選手らしい嗅覚で落下点に入ってダイレクトでシュート。ややループ気味に放たれたボールはキーパーの頭上を越えてゴールに吸い込まれた。

直後のPKは狭山経済GK山崎響の好守に阻まれたが、引水明けの前半28分には早くも追加点。右サイドでボールを受けたFW秋田勇介が得意のスピードで相手を引き剥がすと「最近はコースを狙って外すことが多く、試合で点を取れていなかった。今日は試合前から振り抜こうと意識していた」という背番号9が迷いなくネットに突き刺して2点差とした。

守備においても前線からのプレス、インターハイ後に重点的に練習したというスライドが機能。相手にチャンスらしいチャンスを与えないまま2ー0で折り返す。

しかし後半は一転、圧力を強めた狭山経済が反撃に出る。後半24分にはMF安楽航平が浮き玉のパスにボレーシュートを合わせて1点差に。直後にはGK山崎のロングフィード一発から抜け出したFWフェリペ・ジャン・カルロがドリブル突破からシュート。これは惜しくもゴール左に外れるも、その後もサイド攻撃を中心に押し込んでいく。

その後も最後まで攻める姿勢を見せた狭山経済だが、終盤にかけて集中を取り戻した小川に対しあと一歩及ばず。小川が県大会出場に向け、まずは1回戦を突破した。

ハーフタイムには「選手にも1点差の勝負になる。ここから押し込まれるぞ、我慢するところだよということは伝えていた」と小川・守田亮監督。「1点は取られてしまったが、守備陣が粘って、セカンドを回収して、サイドでキープというのも想定の中で練習していたので、その通りに最後は選手がよくマネジメントしてくれたと思う」と試合を振り返った。

後半は押し込まれる中でチーム全体がハードワークでカバー。今年の代は冬から徹底的に走り込みを行なってきた。「1年生が入学するまでは17人だった。その分、ひとりひとりの練習の強度も上がる中で、それにプラスα有酸素、無酸素をやってきたのでそこには自信がある」と指揮官が話したように終盤にかけても運動量高く動けるのが今年の強みだ。

狙うは2008年以来遠ざかっている県大会出場。2回戦の熊谷西高校戦ではチームの強みであるハードワークをいかに継続できるかがポイントとなってきそうだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

狭山経済 1-2 小川

0(前半)2
1(後半)0